ウォードレス一覧


可憐



リードアウト ─その名は「可憐」


 熊本鉱業高校が開発した、日本を代表する重ウォードレス。
「可憐」という名前とは対照的に、恐ろしくいかめしい姿をしている。
 今次の防衛戦争前に開発されたドレスの中では最高の性能を保有する。
 人工筋肉と逆フィードバック理論を利用した二本の人工腕を持ち
これを自在に操って戦う姿は阿修羅を連想させる。
 非常に重量があり、故に目立った機動力はないが、それを補う豊富な
武器装備が可能であり、単横陣による制圧前進をもっとも得意とする。
 その重武装は突出しており、初めて公表されたときには開発関係者をあっと言わせた。
当時のどこを探しても、7.62mm重機関銃を4門装備できるドレスはなかったのである。
 かわりに機動力および防御力は低く、また後続性能も低いとされた。
 もっとも、それを補うだけの攻撃があったので、それらはたいした問題になりえなかった。
 本機の乏しい機動力を補うために、通常はどの部隊も歩兵戦闘車と
リテルゴルロケットを装備している。

 ここまで見ても分かるとおり、本機の高性能は一般にウォードレスにもっとも
必要とされる性能であるところの機動力を、綺麗さっぱりと切り捨てた点が大きい。
 これは熊本人の気質か、兵器全般に言える傾向である。
 本機はその優秀性から、はやばやと熊本の各高校に輸出・ライセンス生産が
行われ、数々のバリエーションを生んでいる。

 バリエーションの中でも特出されるのが、開陽高校が独自に開発した、単機で
中型幻獣と戦うことが出来るように出力と武装・安定性を改良した対戦車戦特別型
<D>タイプで、<突撃型D><ストライカーD>と呼ばれ、実際に中型幻獣戦に
運用された。
 この機体は重量比から過剰とも言える火器であるところのフルスケールリニアキャノンを
二門装備し、前面に装甲楯を装備したタイプである。
 この機体の運動力は数々の改修で落ちているため、小型幻獣戦闘能力は低く
これを補うために通常型と混ぜて使われる。

 通常型可憐7機が小型幻獣の露払いをする中、本機が突撃を行ったのである。
 その他有名バリエーションとしては、本国仕様といわれる前期量産タイプAがある。
これは後の量産型より複雑な機構を有し、脚部を強化。楯と象徴的な2本の軍刀を
装備する騎士の様なシルエットをしている。
 量産向きでない部品を多用しているものの、性能はB型より高い。
 このバリエーションだけは供給されず、本家の熊本鉱業高校だけが装備した。

 特に熊鉱生徒会役員だけが持つ5体の純白の<可憐A型>の強さは伝説的であり
これが戦場に現れた瞬間、全軍の指揮は沸騰したとされる。
 もっとも、現在ではこれら可憐の強さを宣伝するプロバガンダという説が一般的で
巷でかかれるように秘密兵器が装備された事はなかったようである。



互尊



リードアウト ─不運の凡作


 特徴的な兵器が多い熊本としては、珍しく平凡なウォードレスであり、どこをとっても
特徴が無いのが特徴という、機体である。
 本機は元々、十六連合による次期兵器開発計画「八計画」にある高機動型の
ウォードレス仕様に沿って開発を任された開陽高校が開発したものである。
 計画通りにいけば、<アーリィ・フォックス>に並ぶ、高機動型ウォードレスに
なるはずであった。
 ところが、本機にあわせて開発されるはずだった肝心の新型強人工筋肉の開発に
失敗してしまい、予想通りの機動性能に達しえずに平凡な機体性能になってしまったという
経緯がある。
 しかし、その堅実だが良く練り込まれている完成形に近い機体設計そのものは優秀で
その性能に人工筋肉がついてこれないのは不運の一言につきる。
 結局連合軍としては採用せず、戦車兵用として、また小型幻獣戦専用機として
開陽高校が装備したに止まった。

 歩兵部隊からはそのパワー不足を指摘されて、早々と「可憐」などに活躍の場を
奪われていったが、戦車兵からの評判は非常に良く、他校の戦車部隊でも良く使われている。

 これは航続能力の高さ(着心地の良さ)と無駄な装備や飾りが省かれているために
狭い車内での動きがしやすかったところによる。
 その他、有名なバリエーションとしてはP型がある。
 九州撤退戦間際の6月、南高の軍所顧問<A>から100着分のアーリィ・フォックス用人工筋肉が
支援物資として送られ、本機の40から50着前後が現地部隊によって人工筋肉を換装した。

 これがシリーズ最終型となるP型で、本当の最後の最後に、本機は当初予定されていた
通りの性能を取り戻すことになる。
 それは史上空前の高機動戦闘能力を持った、アーリィ・フォックスにすら互する最強のウォードレス。
 空を走ると謳われた「武尊」(たける)こそが、本機に名付けられた最後の名称である。



久遠



リードアウト ─女性専用のウォードレス


 全国でも珍しい女性専用ウォードレス。女性のボディラインを良くだしている。
尚敬高は女性だけによる戦車学校なので、当然本機も基本タイプが戦車兵用となっている。
 機動力を落とさず防御力を上昇させる目的で装備されている胸当てが、識別上の特徴。
 戦車が破壊され、脱出した後も戦闘を続行できるように設計されており、戦車兵装備の
ウォードレスとしては例外的に装甲と人工筋肉補正率が高くなっている。
 ドレスの大型化を防ぐ目的のためか、大型装備の着脱を行うアタッチメントやその操作機器類は
装備されていないものの、それ以外は通常の陸戦ウォードレスとほぼ同じ機能・性能を持ち
単純な構成からか信頼性も高かった。
 狭い車内で動き回る戦車兵用ウォードレスとしては大型だが、そこは元々小柄な女性が装備する
ため、特に問題はなかったようだ。
 尚敬高校のケルビムには、車体横に本機装備用の長刀が装備されており、ケルビムが破壊された
時点でこれを取り、迫る幻獣を相手に最後の戦闘…白兵戦闘を行った。

 敵に後ろを見せないことを誇りとする本校にとって、このウォードレスは最後の守りであり
生き様であった。
 本機のサブタイプとしては、99年の春から装備された性能向上型のB型(A+型)の他、
アタッチメント類や独立センサー系を装備した完全な陸戦ウォードレスとして改設計され
少数が生産された戦闘工兵用タイプDがある。



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