鬼と姫巫女


今から、千年は昔の話です。

火の国の火の民族、その最後の巫女が土地の豪族に召抱えられて、幻獣と戦うことになります。
見えない物は、剣でも斧でも傷つけられませんからね。
あしきゆめと戦うことができるのは、やはりおなじくうつつでなきものだけだったのです。

巫女は逃げられぬように脚の腱を切られ、同じく伝説の存在である、
猫大将、それに三柱の女神とともに戦いをはじめす。
巫女は、よきゆめと人をつなぐ調停者。
朝廷から派遣された稀代の魔術師菅原の道真や、天の神々と共に、あしきゆめと戦います。
巫女は、魂を解き放つことで戦う力があったのです。

あしきゆめは、人と神々をつなぐ姫巫女を暗殺することにします。
つまり、肉をもった幻獣です。
それを、鬼といいます。
ここで、一匹の醜い鬼(人間の生ける屍に寄生した)が現れて、
巫女が幽閉された洞窟にあらわれます。


鬼は洞窟に現れて、姫巫女を殺害しようとするのですが、
そこで見るも無残な女と、ふーと言っている老猫を見ます。
鬼は、泣いてしまいます。
死ぬほうがいいと、思ったのです。目も潰されてましたし。
身体中に模様をいれられていましたし。

姫巫女は、見えない目で鬼を見て、微笑みました。
鬼は戒めの鎖をひきちぎり、にげで、にげでと言いました。
鬼は、裏切ったのです。

無邪鬼というのは、涙を流すとよきゆめである”巨人”になります。
でも、姫巫女にどうやって逃げろと言うのでしょう。
脚も使えず、目も見えず。

巫女は笑って、優しい子、役目を果たしなさいと言います。
かくて、鬼はよきゆめの列に入り、あしきゆめと壮絶な戦いをはじめます。
かの戦いで、もっとも悪神を葬ったのは、あれです。
そして、よきゆめがからくも、勝つことができました。
鬼は、戦い終わって母ともいえる巫女を連れて、
人間達からにげようとしますが、巫女は人の手で毒殺され、
鬼は、くくりを受けて山にしばられます。

その後、山にやってきた高僧から教えを受け、鬼は善行を積み始めます。
いつか罪をつぐなったら、極楽へいって、あの人にあえると。
そう信じ。



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